半導体は

「シリコン結晶に電子的な欠陥が」なぁんて言っていた、学生時代が懐かしい。国が日本の半導体産業の復権とか暢気な事を言っているわけだけど、当時と研究者やそれに取り組む企業の数、そして景気がまるで違いますからね。政治でねじ曲がったものを、40年の時を経て戻すというかそれよりも上を目指そうなんて、よくもまぁ、言えたものだと呆れる。給料がどかんと上がって、国民がものを買いまくって、税収が増えまくって、その分を半導体産業につっこみます位を言ってくれないと、とてもではないが、基礎研究レベルから技術の積み上げなど出来るものではない。

そのプロセスの芸術性たるや。宇宙が創造したシリコン原子が、地球の環境下で半導体となって使えるように自然に配列し、そしてそれが半導体として活躍できる温度帯で人間が生きているという本当に微妙なバランスの下に成り立っている。奇跡としか言いようがないわけだが、その神があたえし素材を切って磨いてその上に、数ナノメートルのスイッチを無数に並べて、それが産業の米となる。シリコンの板の上に線を描く装置だって、日本は辞めちゃっているから、新たに立ち上げないといけないし。それには数千億円の開発費が必要となるだろう。

装置開発一つとっても、物まねで出来るレベルでは無いし、今の世界のトップを越えていかないと、立ち上がる頃には世界のビリみたいになっているでしょうからね。特に、半導体のユーザーは沢山居ても製造のプレーヤーがほとんどいない中京地域において、新しく半導体産業を興そうなんて、言うのは簡単だが、実行するにはとてつもなくハードルが高い。そして多い。

ユーザーが居るんだから、受益者負担で金を出すのが当然だとは思うのだ。商品には金を出すけど、研究や開発には出しませんよということがずっと続いていて、結局、それで研究サイドが倒れてしまったということなのだ。大学には金は出さない。下請け企業にも金を出さない。留保で太って緊急時に備えるって、もう、緊急時は過ぎてしまっているのだ。それでも半導体素子が大切だというのであれば、最低でも一ヵ所に10兆円の投資が必要だ。研究者の育成から今、最新のライン構築まで。GoToで生み出す税金では賄えない。やるべきだと思う。挑戦者を集めるのであれば、間に合うかもしれない。