統計から

先週、日本の出生数が前年度比で5%以上の減少で、77万人程度になるという報道があった。このようにピンポイントな数字を聞いていると、微分値の変化量の増加はなんらかの要因があったのだろうなと、因果関係や相関関係を考えてしまう。そうすると更にピンポイントな思考となって、木を見て森を見ずの思考に陥ってしまう。今の時代に結婚適齢期だのということは時代錯誤もはなはだしいのだが、男女比が大略50%と考えると、20年後の出生数が想像できるというものだ。

近未来の医療関係の書類を調べていて、そうか、こんな目線は掛けていたなと思ったことがある。全女性人口数において、50歳以下人口比は49%程度である。高齢出産だのなんだのと言うと、直ぐに差別だのセクハラだのと言われる世の中だけれども、50歳から子育てに入るには、日本においては経済的には厳しかろうという観点で語るとすると、現与党の皆さんが国会で語っている子育て世代のアシストだのなんだのというのは、統計的な数字を無視した絵空事だと感じる。若い世代に飴を与えると、日本の人口が魔法のごとくに増えていくという幻想を、定量的な数字で見直すべきだ。

総務省は包み隠さず数字を公開しているから、一度はデータをダウンロードして、あれやこれや、自らの観点で、その数字を眺めてみるべきだ。人口ピラミッドだけを見せられると、2023年には団塊の世代と言われる第一次ベビーブームで、日本の総人口が急激に増加した時代の方々が75歳以上になって、支えさせて頂く医療費は恐ろしい程になる。その方々のご子息の年齢に到達するのは一年遅れて2024年くらいだ。加速的に出生数は減少していき、この国を支えるエンジニアも、現状の総人口に対する割合が変わらないとすると、激減するということだ。

ドローンで物流のラストワンマイルを解決しようと言えば、反対側から「プライバシーが侵害されるから許さない」とかね、新しいことを拒み続けるこの国の未来は真っ暗だなと感じる。それは今のままで有ろうとすればと言うことだが。旧態依然からの脱出は、まずは智慧の向上からに他ならない。徹底的な学域改革と産学連携の高度化は喫緊の課題。課題どころか必須である。IT人材云々も取りざたされるが、世界のネットワークに接続される金融は、常に攻撃にさらされるからそれに対抗するためにも自国で育てなければならない。情報の国防の観点は必須。暗くなっている場合では無かろうが、公開されている数字が正しいとするならば、大学の併合だなどとつまらないところに割いている時間は無かろう。そう思う。