再分配

電機磁気学や四力学など、工学のエッセンスであり、テラヘルツ送受信が可能になった今においても、それらがでんぐり返るというお話を聞いたことが無い。量子力学においても、数学的な進化に伴って、概念を定量的に扱えるようになり計算機への応用が実現してくるなどの、人間が活用できる範囲が広がってはいるが、これもでんぐり返ることは無い。工学を活用するという点において、工学の道具と言う側面をどのような場面で活用するのか、その応用範囲の広がりを考えることになる。

解明できていない生体内の現象においても、工学と言う道具は役に立ち続けると思うのだが、生体における微小な電子のやり取りやクーロン力による信号のやり取りをその場で観測するという夢において、電場だけではなく、磁場という、言ってみれば切っても切れない関係性を上手に使おうよとなっていくのかなとふわっと考えたりする。どうやって何をどうするのかを描けているわけではないが、何か面白いことは無いかなと思ったりする。

するとセンシングという、工科系の人間にとっては至極当たり前のツールの原理原則を、信号解析の基礎とその活用方法と共に医学系の人間が扱えるようになったとすると、その学生さんは将来においてなんらかの夢を持つかもしれない。大学って人間の育成機関であるから、誰に夢を描かせるかという点において、経営者は知恵を絞らねばならない。「いいもの」になって金をよこせと本社に陳情しても、それは甘いのではないか。今をしっかりと見つめて、他大学の役割部分は割譲、廃止という方向性も考えねばならぬ。

研究成果を社会還元するという絵柄は綺麗だが、社会還元が今ある商材の微妙な改善であってはしょうがない。自らの他者と差別化するという精神を養うアントレプレナーシップだが、差別化を喚起する研究成果がどれだけあるのか。それをきちっとロジカルに語れないのでは「その分野を排除しては?」と本社に言われても仕方が無い。分野間の連携無く、縦割り思考のままの頭では、新時代の旗手を育てることはできまい。無くなった分を他大学が獲得していくということになろう。厳しく自らを見つめるとそうなってくる。そう感じている。