国産GPS衛星みちびきが漸く4号機体制となった。赤道直上の静止軌道上の一機と天頂を巡る3機とで、やっとこさっとこ、日本人が日本の国土上の物体を即位できるようになった。伊能忠敬が僅か17年で歩いて国土を表したのに対し、米国頼みの風潮からか、なかなか進まなかった国土測量である。国家が国土を即位出来ずに何が国家か!と、きな臭いことは抜きにして、連日の山ネタで恐縮だが、GPSフリークとしては大変に嬉しいことである。まずは目出度い。
GPS測量は既に米国軍事衛星を使って、栃木にあるもてぎサーキット造成など、数多くの場所で用いられている。広大な農地を無人で動くトラクターもGPS制御である。サテライトクルージング走行というと、なんだか妙に格好良いが、要するに米国軍事衛星に日本がどのレベルの技術を持っているのか丸裸でデータを提供し、逆に感謝しながら国土開発をしている現状だ。某社のスマートフォンにも同様のGPSチップが入っているから、どんな人口変動が生じているかまで監視されているのが現状である。それが日本人に監視されるようになるだけなのだが、まぁ、少しはマシと思うことにしよう。
GPS端末は様々製品が出ていて、有名なのが米国ガーミン社のものだろう。米国の兵隊の方々が戦地に赴くときに自ら買って行くというのは有名な話だ。万が一、一人、砂漠に残されても、生きて帰ることが出来る可能性が格段に上がる。名工大の古墳の周りを歩けば、明確に円を描いてくれる。一般民間人モデルではここまでは難しいかもしれないが、山歩きをして、出発点に戻るという点において、確実な働きをしてくれる。仮に迷子になっても地形図を入れていれば、確実にピークを確認でき、尾根を外すことなく生きて帰ることが出来る。
季節が突然に秋になった。心地よさに釣られて桜山から歩いてみると、どこからともなく金木犀の香りが漂う。スマートフォンの地図もそうだが、今現在、何処に居るのか、基本的な情報を入手できると安心する。折角、一機300億円も掛けて情報を地上に届けてくれるGPS衛星である。それを活用するサービスをどんどん社会に提供していきたい。単に登山客を喜ばせるだけではなく、様々な価値が生まれてくるはずである。伊能忠敬一行が命を懸けて創り上げた大日本地図。北九州小倉から一歩を踏み出す時の、その思いを改めて聞いてみたい、金木犀の香りの中、天を見上げてしみじみ想った私であります。